カナダ統計局によると、BC州で販売された牛ストリップロインの平均小売価格は、2023年8月の1kg当たりCAD27.15から、2026年8月にはCAD48.53へ。3年間で78.7%上昇しました。 牛ひき肉も、同じ期間にCAD11.16からCAD18.53へ、66.0%上昇しています。[1]
ストリップロイン250g分に換算すると、約CAD6.79から約CAD12.13へ。同じ量を4人分用意する場合、肉だけで約CAD21.38の差になります。
なぜ、ここまで高くなったのでしょうか。その背景には、牛の供給不足、根強い需要、そして生産を増やすまでにかかる時間があります。
ステーキ肉は上下しながら上昇、ひき肉はじわじわ上昇

ストリップロインは月ごとの上下が大きく、ひき肉は比較的なだらかに上昇しています。78.7%という数字は、毎年の値上がり率ではなく、2023年8月と2026年8月の平均価格を比較したものです。
| 品目 | 2023年8月 | August 2026 | 3年間の変化率 |
|---|---|---|---|
| ストリップロイン・1kg | CAD27.15 | CAD48.53 | +78.7% |
| 牛ひき肉・1kg | CAD11.16 | CAD18.53 | +66.0% |
また、このデータは「BC州で販売された牛肉」の価格で、BC州産だけを集計したものではありません。78.7%は、牛肉全体ではなくストリップロインという特定の部位の上昇率です。
牛の頭数が3年連続で減少
牛肉の供給を考えるうえで重要なのが、牧場で飼育されている牛の頭数です。
カナダ統計局によると、2025年1月の国内の牛の飼育頭数は、同月比較で3年連続減少しました。繁殖用の肉用母牛も、前年同月から1.2%減っていました。同局は、西部カナダの飼料・干ばつ事情が改善したことで、その年の減少幅は小さくなったと説明しています。[2]
牛を育てるには、牧草、水、飼料が必要です。乾燥が続き、それらの確保が難しくなると、頭数を維持したり、増やしたりする負担が大きくなります。
さらに、繁殖用の母牛が減れば、将来生まれる子牛の数も制約されます。天候が回復しても、生産の土台となる牛の頭数がすぐに戻るわけではありません。過去の厳しい飼育環境が、数年後の供給にも影響するのです。
北米と世界の強い需要が、BCの価格を押し上げる
供給に余裕がないところへ、牛肉を求める需要が重なります。
カナダ統計局は2025年8月の価格動向で、北米の肥育向け牛の供給の逼迫と、牛肉・子牛肉への強い需要が牛の価格を支えたと説明しています。同月、BC州の食肉処理向け牛の価格は前月から3.5%上昇しました。[3] これはスーパーの店頭価格ではなく、生産者が受け取る価格です。ただ、流通の上流でも価格上昇の圧力があったことを示しています。
さらに同局は、2026年上半期に牛の価格が過去最高となった背景として、牛肉と生きた牛に対する世界的な需要の強さを挙げています。[7]
BCでカナダ産の牛肉を買っていても、その価格を理解するには、州内だけでなく、北米や世界の需給を見る必要があります。
カナダで食べられる牛肉は、ほとんど国産?
国産が中心ですが、輸入品も相当な割合を占めます。
Canada Beefの2024–2025年度年次報告は、Canfaxのデータとして、2024年にカナダ国内で消費された牛肉の25.36%が輸入品だったとしています。残りを計算すると、国産の割合は約74.64%です。[4]

一方、カナダは牛肉を大量に輸出する国でもあります。カナダ畜牛協会によると、2025年は生きた牛の輸出を含めて、生産量の54%を輸出しました。[5]
輸出割合は「生産」、円グラフは「国内消費」を基準としているため、分母が異なります。
この貿易構造から分かるのは、国産の牛肉も海外の市場とつながっているということです。国内の買い手だけでなく輸出先からも需要があり、輸入する牛肉の価格も海外の供給事情に左右されます。
高く売れるなら、もっと牛を育てればいいのでは?
価格の上昇は、生産者にとって増産の動機になります。しかし、牛肉は短期間では供給を増やしにくい食品です。
アルバータ州の畜産技術資料では、増産を決めてから追加の生産が市場に届くまで、およそ2〜3年かかると説明されています。[6]
繁殖用の雌牛を確保し、子牛が生まれ、その子牛を育てる必要があるからです。さらに、将来の繁殖のために雌牛を手元に残せば、その牛はすぐには食肉として出荷されません。
将来の供給を増やすための行動が、目先の供給を抑える面もあります。値段が高いからといって、翌月から牛肉が大量に出回るわけではないのです。
値下がりの兆しは見えてきた?
カナダでは、将来の生産を支える繁殖用の牛を増やす動きが見られます。2026年7月には、繁殖用の若い雌牛が前年同月比5.7%、肉用の母牛が1.9%増加しました。一方、同年上半期のと畜頭数は4.6%減少しています。[7]
ただ、供給が回復すれば必ず安くなるわけではありません。世界の需要が強ければ、増えた供給が吸収され、価格を支える可能性があります。
繁殖用の牛の増加は明るい材料です。しかし、BCのスーパーで値下がりを実感できるかどうかは、生産の回復が、海外を含む需要に対してどれだけ供給の余裕を生むかにかかっています。